現在は主に声優方面で活躍中のゆいかおりですが、歌唱とダンスのパフォーマンス力についても注目する価値のあるアイドルです。特に、サウンドクリエイターとして前山田健一氏を擁していることは大きなアドバンテージだと言っていいでしょう。前山田氏も自身が注目する歌い手の一人として小倉唯さんの名前を挙げるなど、関係も良好なようで何よりです。
ファーストアルバム『Puppy』のリード曲「PUPPY LOVE!!」もストレートな前山田的アイドル曲として質の高い曲でしたが、注目したいのはアルバム収録の小倉唯さんソロ曲。キャットボイス好きを自認する前山田氏の変態性が遺憾なく発揮された曲で、ライムスター宇多丸氏をして「この人はいい楽器を持っている」と言わしめた小倉唯さんの声をフェティッシュに堪能できる怪作です。
ゆいかおりやHAPPY! STYLEの皆さんの今後に期待しています。
モーニング娘。9期の加入は、しばらく完全に停滞していたモー娘において、ついに山が動いたとも言えるような出来事でした。9期メンバー、特に鞘師里保さんの加入で、モー娘はいよいよ“戦える”だけの体制を整えることに成功したのではないでしょうか。続く10期の加入も含め、いよいよ反撃の狼煙を上げたなという期待感があります。
この曲は、加入早々にフロントメンバーとなった鞘師さんの力量をうかがい知ることができる一曲。アフター高橋体制のメインとなる田中れいなさんとのデュオで、聴かせるだけの歌唱力があることを証明している曲なのではないでしょうか。新垣里沙さんをメインMCとしたラップ部分もアイドルラップとしてはイイ感じで、なかなかいいバランス感の良曲ではないかと思います。
スマイレージ第一期の到達点とも言える楽曲。四人のスマイレージの体制が完全に固まり、小川紗季さんをリードとして、それぞれの歌唱の良さが伸びやかに出ている良曲だと思います。
PVのほうもなかなか良く、女子が髪を切ることの小さなドラマチックさのようなものを巧く映像にしている好編です。
楽曲としては充分に魅力を出せていたスマイレージですが、その後の追加メンバー募集発表を皮切りに、皆さんご存知の通りあらぬ方向に向けて強烈なダッチロールを繰り返している最中です。どうにかみんなが幸せになれる感じに進んでいってくれることを祈ります。
で、こちらがスマイレージ第一期のエンディング曲。アイドル楽曲好きの8割にとって絶対善となっている第二期タンポポを思わせるような曲で、普段アッパーなスマイレージのガーリーな一面を引き出している良曲です。そして四人のスマイレージにとって、これが最後のオリジナル曲ということになります。
まあ、メインボーカルだった福田明日香さんが抜けた後のモーニング娘。はその後何もなかったかのようにブレイクを果たしましたし、3人抜けた℃-uteもまるで最初から5人だったかのように突き抜けたパフォーマンスしてますから、いつかはみんな慣れるのかもしれないですけどね……。
とはいえ、最新曲の「プリーズミニスカポストウーマン」が大変に良い曲なので、今後にも期待が繋がったのは喜ばしいことです。
現在のハロプロ勢におけるパフォーマンス番長が℃-uteであることは、もはや衆目の一致するところではないでしょうか。ことにアッパーな曲におけるステージパフォーマンスは完全に他のグループを圧倒しており、これでトップ張れてないのは勿体無いなーと思うことしきりです。
で、この「Kiss me 愛してる」が今年の℃-uteの一番曲にして、ハロプロ楽曲大賞の1位に推したい曲です。℃-uteらしいアッパーなユーロビートでグイグイ押してくるパワフルな曲で、去年の「Danceでバコーン! 」に続いて、今の℃-uteの脂の乗りっぷりを感じさせてくれます。特に先日のモベキマスコンでのライブパフォーマンスでも、中島早貴さんの煽りでガンガン上げていくなど、ノリの良さで見事に光っていました。
℃-ute、もうちょっと売れても良さそうなもんだけど、どうなんですかね。
今年は何かとアイドル文化に触れることが多かった年でした。何かしら文章にしておきたいような気持ちでしたので、せっかくだからハロプロ楽曲大賞に応募してみたいと思います。
普通に曲のみで選ぶとももクロ楽曲ばっかりになってしまいかねないところではありますが、それもあまり面白くないので、ちょっとバラエティ広めにとってみました。年末総決算的な感じですね。
あとまあこんな機会でもつくらないと、なかなかここに書くことがないのです。
今年のアイドル界隈において、もし作曲・編曲者部門賞があったとしたら、間違いなく上位に入ってくると思われるのが、ヒャダインこと前山田健一氏です。普通にいい曲から少々アタマのおかしい曲まで、そのオリジナリティあふれる楽曲はいかにも今っぽく、現在のアイドル音楽の隆盛のど真ん中にいるといっても過言ではないでしょう。
主にももクロ仕事で名高い前山田氏ですが、同じくスターダスト所属の私立恵比寿中学では音楽科主任教員の肩書きを担っており、ももクロ以上にエッジの効いた楽曲を連発しています。
この「ザ・ティッシュ」は、そんな前山田楽曲の中でも、狂いっぷりが際立つ一曲。BPM200オーバーのハードコアなテンポなのに、エビ中の皆さんはライブではこれに合わせてキッチリと歌って踊るパフォーマンスをするのだからビックリです。4月に中野で生で見てから、頭を離れない曲になってしまいました。
後にアイドルヲタっぷりが世に知れ渡る嶺脇氏がタワレコの社長に就任し、アイドル専門レーベルT-Palette Recordsを立ち上げたのもビックリなら、その第一弾アーティストの中にNegiccoの名前があったのもビックリでした。活動歴の長さで知られるNegiccoですが、最大の魅力はその楽曲の出来の良さ。吉田豪氏監修の「ライブアイドル入門」のヒットをきっかけに、楽曲の魅力とアイドル界髄一の苦労人っぷりについても、かなり広く知れ渡った感があります。
この「ニュートリノ・ラヴ」はT-Paletteでの第二弾シングルのカップリング曲。恋に恋するOLの心情を歌うというアイドルらしからぬ風景を描いたリード曲「恋のEXPRESS TRAIN」も佳曲ですが、アップテンポで現場でのノリが良く、キレの良いダンスも楽しめるこちらの曲が、個人的に今年の一番曲です。
(※非公式)
アイドル楽曲のDJ MIXでは定番となっているのがこの曲。ちょっとニューウェーブっぽさも感じさせるイントロのリフから、トマパイの三人の伸びやかなボーカルが実に心地よく入ってくる、これまた名曲です。アイドル楽曲でこれだけイイ感じの曲が楽しめるのだから、シーンの充実っぷりには感謝したいことしきりです。
トマパイはシングルのリード曲では「いかにも清純派!」という感じのオリーブ少女的な魅力を押し出し、カップリング曲のほうで音楽的な幅を出してくる印象があります。ジェーン・スーさんを始めとするサウンドクリエイターチームの手練っぽさが感じられます
いい曲揃いの今年のアイドル楽曲において、最も“ええ曲やー”という感がビシビシ伝わってくるグループが、東京女子流です。スラップベースがビシビシ鳴るファンクど真ん中の名曲「ヒマワリと星屑」を皮切りに、魅力的なファンクサウンドに女子の声を乗せた、新しいスタイルのアイドル楽曲を連発しています。その楽曲はあまりにも魅力的で、細く長い手足から繰り出すダンスの魅力と相まって、ネクストブレイクに最も近いポテンシャルを秘めているのが東京女子流ではないかと個人的に思っています。
この「Limited addiction」は、女子流楽曲の中でも比較的テクニカルな歌唱で聴かせてくれる、今年いちばんのファンクな曲です。ちょっと歌ウマ担当の小西彩乃さんに負うところが大きすぎるかなという気もしますが、全員にソロパートが割り振られるなど、女子流のこれからを感じさせてくれる曲でもあります。
今年のアイドル界で最大の話題は、間違いなくももクロのビッグブレイクでしょう。世間的にはZに改名してテレビに出まくれるようになった4月以降の活躍で知られますが、現場に出ていた側としては、実際のところ、やはり早見あかりさんの脱退発表から4.10中野サンプラザまでの約3ヶ月間こそが、アイドルの歴史に残るような奇跡の日々だったと言い切ってしまいたいと思います。
神聖かまってちゃんとの対バンとなった「伝説のAX」をはじめ、この時期に行われたライブは、とにかく凄まじいまでの高揚感と一体感に満ちていました。4.10までの、「今しかない」という刹那感。震災の影響で活動できない期間もありましたが、この期間を体感できたことは、非常に幸せなことだったと思っています。そしてこの時期のライブを支えたのがこの曲「Chai Maxx」でした。
プロレスの文脈やドリフのエッセンスなど、ももクロらしい無茶苦茶さがふんだんに盛り込まれた楽曲ですが、その中心にあるのは熱さと勝負感。ライブでこの曲がかかったときのアガる感じ、ぶっ放してきた感は他にない魅力です。ライブでこそ光る名曲です。
たまにはここも更新しましょうね。
ちょっと騒ぎも落ち着いてきたので、フジテレビと韓国コンテンツの話を、あまり世間で触れられていない角度から取り上げてみたいと思います。
フジテレビが韓国コンテンツを使うのは、近年に始まった話ではありません。80年代後半には既に『オールナイトフジ』のサブ司会に韓国タレントを入れたり、深夜番組枠のJOCX-TV2で韓国をガイドする30分番組『SEOUL SOUL』を放送したりしていました。これはなんと、まだ韓国では日本コンテンツが禁止されていた頃の話です。つまり文化的にはまだ鎖国していた相手に対して、積極的に文化交流(というか利用)をしていたのだから、かなり実験的な試みだったのではないでしょうか。
ちなみにこの両方に出ていたのが、イ・ヘスクさん(当時の表記で言うと李恵淑、読みはイ・ヘースク)。最近ではドラマに多数出演するバリバリの女優さんになっています。映画『国家代表!?』に出たりもしていました。
ただ、80年代後半のフジテレビが実験的に放送していたのは、韓国コンテンツだけではありません。先述『SEOUL SOUL』(87年)と同じ深夜枠JOCX-TV2では、NYを取り上げた『NY者』(88年)、アジア全般の『千夜アジア物語』(90年)『アジアバグーズ』(91年)などの番組がありました。これらの番組は、その多くが現地の言葉で制作され、日本語は全編字幕という、今から見たら大変な冒険をしたスタイルで放送されていました。
もうひとつちなみにバナシをすると、先に挙げたオールナイトフジでも、イ・ヘスクさんの他に、香港の女優であるアニタ・ムイさんがサブ司会を務めていた時期がありました。ジャッキー・チェンやチャウ・シンチーの相方である大女優アニタがオールナイトフジに出ていたというのはかなりギャップがあるのですが、この辺はプロモーターの思惑などもあったのでしょう。
さておき、つまりフジテレビは、最も勢いがあった時期に、深夜番組で各国のコンテンツを実験し、その中で最も大きく芽吹いたのが韓国コンテンツだったわけです。20年越しでまいてきた種が、ここにきてようやく収穫できるようになった、とも言えます。
そんな視点から見れば、ビジネスとしては、いま収穫したいのは理解もできようというものです。これだけ先行投資してきて収穫の段になったらダメ、というのはちと可哀想な気もしたりします。
ただこれが音楽出版に絡むメディア・コングロマリットの話になると、ちょっと風向きが変わるんですよね。そもそも放送メディアに放送外収益の道を許しまくる日本の法律的欠陥の話になるので、これについてはまた別の、かつ大きな問題です。ビジネスのひと言で許していいのか、という話。
今回の騒ぎはいろいろなレイヤーの問題をごちゃまぜにしている意見が多くみられるので、問題は切り分けて考えるべきですね。
4月3日。あのジジイの花見自粛令に対抗して、町山智浩さんが発起人となり、新宿中央公園で大々的なお花見会が開催されました。ギターパンダさんを招聘したのを除けば、それぞれ個人が集まって、最終的には数百人になったそうです。僕は別件があっていけませんでしたけど。
親父たちの時代は、新宿西口の地下に集まってフォークを歌いました。僕ら(と、ちょいアニキ)の時代は、お花見でキヨシローの歌を歌ったのです。
小規模公開ながらいい感じだった今年の映画、洋画編です。
公開規模がそれなりに大きかったヤツ(『十三人の刺客』とか『インセプション』とか)や、俺が褒めなくてもみんながホメてるヤツ(『キック・アス』(※音が出ます)とか『ヒックとドラゴン』とか)は、また別枠という感じなので挙げてません。あしからず。
あと今公開中の『モンガに散る』も結構オススメなんですが、ちょっと多くなりすぎたのとバナーがないので名前だけにしておきます。
スウェーデン産、ヘビー級の傑作サスペンス映画です。皮を一枚ずつ剥いでいくような、サスペンスとして完成度の高いプロットもさる事ながら、主役であるアンチヒロイン、リスベットのキャラクターが出色。チビ・ゴス・ビッチ・バイ・メンヘルという存在感バリバリのキャラクター性が、非常に強い引力を生み出しています。
絵作りとしても、暗い証明でフィルム感を残した感じが、スウェーデンという北方の土地の独特な存在と相まって、実にいい雰囲気になっています。
原作小説のほうはそれなりにヒットしているので、そちらで読んだ方もいるかもしれませんが、未読の自分から見ると、映画として「原作のほうが面白いのかも」と思わせない時点で成功作と言えるかなと思います。
ちなみに『2』『3』も公開されてますが、テレビスペシャル程度の内容なので、こちらはまったくオススメできません。
21世紀の恋愛映画マスターピース。脚本、監督とも巧すぎるくらい巧い作品です。
文系草食系痩せ型男子の主人公(ジョセフ・ゴードン=レビット)が奔放独特女子(ズーイー・デシャネル)に、一気に持って行かれるあの感じ。“I love Smith”一発でヤラれてしまうあの感じは、実に共感できすぎる見事な描写です。
その他にも、あまりにも見事な描写が盛りだくさん。例えば、初めてヤれた日の万能感をミュージカル仕立てで見せる表現は、映画史上に残るほどの名シーン。何かがうまく行かなくなり始めてからのウジウジ感や、理想と現実を画面分割で並べる演出など、何もかもが掴まれまくりの巧さです。
ほぼ二人の恋愛だけを丹念に見せる、真のウェルメイドはこういうことだというのを証明するような一作です。
ここ数年絶好調の韓国映画は、もちろん今年も好調でした。その中でも、ドラマの力で心臓を掴まれるような傑作が、この作品です。
家族という無間地獄の中で、暴力と罵詈雑言以外に人と関わるすべを知らないサンフンと、心を開くべき相手をどこにも持たないヨニという、人の愛に飢えた主人公二人が出会う物語です。漢江のほとりで、互いの前で涙を流すシーンも、映画史上に残るような名シーンです。 その先は蛇足かと思えば、とんでもない。業が招く悲劇、それを越えた先のつかの間の明るさ、そして最後の最後に来るラストと、感情を揺さぶられるような展開が続きます。
低予算のインディー映画とか、そういう事がどうでもよくなるくらいの凄まじい構成力が光る映画です。
ただいま全盛の3DCGではなく、パペット職人ヘンリー・セリックがパペットにこだわった作品です。パペットアニメーション独特の味わいが前面に出ていながら、CG映画を超えるほどに自由なカメラワークで撮られているという物凄い画を観ることが出来ます。
ダークファンタジーとしての造形も素晴らしく、人のイマジネーションの限界の無さを形に現している驚愕の映像美が表現されています。ニール・ゲイマンのダークおとぎ話の魅力もさる事ながら、ヘンリー・セリックの造形力の凄さを見せつけられたような気分に浸れる映画です。
初公開時は3D上映だったので吹き替えで良かったのですが、原語版の主役であるダコタ・ファニングの声の演技が素晴らしいので、ブルーレイやDVDで観るなら字幕版がオススメです。
入り口からは想像もできないようなところに広がっていく、ドラマの楽しさを存分に堪能できる映画です。
この映画の最大の魅力は、何と言ってもクライマックスに演奏される、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲のシーンに尽きます。人生の回想という、短い中に情動のあるシーンと、バイオリン協奏曲の持つストーリー感がこんなにもマッチするとは、と驚くことしきり。クラシック音楽そのものを再評価したくなるほどのシーンです。かの曲が持つ、ソロ時の「悲哀」と合奏時の「歓喜」のドラマ、その両方が見事に織り込まれています。
様々な無理難題を努力と勢いとメンバーのパワーで無茶に乗り切るイイ感じのコメディとしても楽しく、誰にでもオススメしたくなる好編です。
みんな大好きソン・ガンホは今年もいくつかの映画に出演していますが、この映画が今年のベスト・オブ・ソン・ガンホ。出る映画出る映画たいがい秀作という、歩留まり最強役者の面目躍如です。
本作は人情バディ・エンターテイメントであり、サスペンスであり、要所要所でアクションありという盛りだくさんな内容で見せてくれます。メジャー的な映画力を存分に楽しめる快作ムービーです。
ソン・ガンホの人情派演技が良いのはもはや当然としても、もう一方の主役であるカン・ドンウォンの、抑えつつも沸々と熱いスパイ役が実に良い。韓国イケメンさんを毛嫌いする人以外には、安心してオススメできる万人向けの良さがあります。
地域によってはまだ上映中ですので、よろしかったら劇場へ。