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NHKにて放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀 宮崎駿スペシャル』を見ました。
……いやいや、あまりにも凄かった。なんとなくテレビをつけていただけだったのだけれど、全然目が離せなかったです。
番組のディレクター一人だけが“書生として”密着を許された状態で、06年の4月〜6月にかけて、デジカムひとつで新作『崖の上のポニョ』の準備に入るときの宮崎駿を取材したもの。かなりの部分で、宮崎駿がこれまで他人に見せたことのない面が露になっておりました。
特に凄かったシーンはふたつ。吾郎監督の『ゲド戦記』の初号試写を見る場面と、『ポニョ』の準備のために海のそばにある知人の家にこもるシーン。
前者は、『ゲド』についての駿監督の思いを、これほど如実に語った瞬間は他にないというくらい見事でした。
試写を1時間見たところでいったん中座し、タバコを口にして「思いだけで映画を作ってはいけない」と語る駿監督。その真意も理由も一切語らない。そして試写室に戻り、試写終了。偉いさんへの挨拶もそこそこに、じっと黙ったままソファに座り、またタバコを口にしてから、カメラを構えるディレクターに一瞥もくれず「……何を聞きたい」と言い放つ。
「……僕は自分の子供を見ていたよ。大人になっていない。それだけ」
これこそ、ドキュメンタリーの映像が百万言よりも雄弁になる瞬間でした。
そして後者は、映画制作に入る直前になり、密着初期とは別人のように不機嫌に、徐々にカメラを遠ざけるようになる駿監督の姿。そしてイライラと『孤独でいる人間にわざわざ話しかける必要はないんだよ』とディレクターを一喝する。そして監督は作品を作るために、加速度的に不機嫌で孤独になっていく。
ああいう人がどのような顔で作品に取り組んでいるのかを垣間見られた、これも映像ならではの瞬間です。
ああもう、それにしても見事なドキュメンタリーだった。何より、密着取材中に『ゲド』があったことが奇跡的だったかもしれない。撮られる側も撮って編集した側もそれなりに恣意的ではあるのだろうけれど、それにしても見事。
再放送を強く望みます。
_ ちなみに密着したディレクターによるスタッフノートも一読の価値あり。