小規模公開ながらいい感じだった今年の映画、洋画編です。
公開規模がそれなりに大きかったヤツ(『十三人の刺客』とか『インセプション』とか)や、俺が褒めなくてもみんながホメてるヤツ(『キック・アス』(※音が出ます)とか『ヒックとドラゴン』とか)は、また別枠という感じなので挙げてません。あしからず。
あと今公開中の『モンガに散る』も結構オススメなんですが、ちょっと多くなりすぎたのとバナーがないので名前だけにしておきます。
スウェーデン産、ヘビー級の傑作サスペンス映画です。皮を一枚ずつ剥いでいくような、サスペンスとして完成度の高いプロットもさる事ながら、主役であるアンチヒロイン、リスベットのキャラクターが出色。チビ・ゴス・ビッチ・バイ・メンヘルという存在感バリバリのキャラクター性が、非常に強い引力を生み出しています。
絵作りとしても、暗い証明でフィルム感を残した感じが、スウェーデンという北方の土地の独特な存在と相まって、実にいい雰囲気になっています。
原作小説のほうはそれなりにヒットしているので、そちらで読んだ方もいるかもしれませんが、未読の自分から見ると、映画として「原作のほうが面白いのかも」と思わせない時点で成功作と言えるかなと思います。
ちなみに『2』『3』も公開されてますが、テレビスペシャル程度の内容なので、こちらはまったくオススメできません。
21世紀の恋愛映画マスターピース。脚本、監督とも巧すぎるくらい巧い作品です。
文系草食系痩せ型男子の主人公(ジョセフ・ゴードン=レビット)が奔放独特女子(ズーイー・デシャネル)に、一気に持って行かれるあの感じ。“I love Smith”一発でヤラれてしまうあの感じは、実に共感できすぎる見事な描写です。
その他にも、あまりにも見事な描写が盛りだくさん。例えば、初めてヤれた日の万能感をミュージカル仕立てで見せる表現は、映画史上に残るほどの名シーン。何かがうまく行かなくなり始めてからのウジウジ感や、理想と現実を画面分割で並べる演出など、何もかもが掴まれまくりの巧さです。
ほぼ二人の恋愛だけを丹念に見せる、真のウェルメイドはこういうことだというのを証明するような一作です。
ここ数年絶好調の韓国映画は、もちろん今年も好調でした。その中でも、ドラマの力で心臓を掴まれるような傑作が、この作品です。
家族という無間地獄の中で、暴力と罵詈雑言以外に人と関わるすべを知らないサンフンと、心を開くべき相手をどこにも持たないヨニという、人の愛に飢えた主人公二人が出会う物語です。漢江のほとりで、互いの前で涙を流すシーンも、映画史上に残るような名シーンです。 その先は蛇足かと思えば、とんでもない。業が招く悲劇、それを越えた先のつかの間の明るさ、そして最後の最後に来るラストと、感情を揺さぶられるような展開が続きます。
低予算のインディー映画とか、そういう事がどうでもよくなるくらいの凄まじい構成力が光る映画です。
ただいま全盛の3DCGではなく、パペット職人ヘンリー・セリックがパペットにこだわった作品です。パペットアニメーション独特の味わいが前面に出ていながら、CG映画を超えるほどに自由なカメラワークで撮られているという物凄い画を観ることが出来ます。
ダークファンタジーとしての造形も素晴らしく、人のイマジネーションの限界の無さを形に現している驚愕の映像美が表現されています。ニール・ゲイマンのダークおとぎ話の魅力もさる事ながら、ヘンリー・セリックの造形力の凄さを見せつけられたような気分に浸れる映画です。
初公開時は3D上映だったので吹き替えで良かったのですが、原語版の主役であるダコタ・ファニングの声の演技が素晴らしいので、ブルーレイやDVDで観るなら字幕版がオススメです。
入り口からは想像もできないようなところに広がっていく、ドラマの楽しさを存分に堪能できる映画です。
この映画の最大の魅力は、何と言ってもクライマックスに演奏される、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲のシーンに尽きます。人生の回想という、短い中に情動のあるシーンと、バイオリン協奏曲の持つストーリー感がこんなにもマッチするとは、と驚くことしきり。クラシック音楽そのものを再評価したくなるほどのシーンです。かの曲が持つ、ソロ時の「悲哀」と合奏時の「歓喜」のドラマ、その両方が見事に織り込まれています。
様々な無理難題を努力と勢いとメンバーのパワーで無茶に乗り切るイイ感じのコメディとしても楽しく、誰にでもオススメしたくなる好編です。
みんな大好きソン・ガンホは今年もいくつかの映画に出演していますが、この映画が今年のベスト・オブ・ソン・ガンホ。出る映画出る映画たいがい秀作という、歩留まり最強役者の面目躍如です。
本作は人情バディ・エンターテイメントであり、サスペンスであり、要所要所でアクションありという盛りだくさんな内容で見せてくれます。メジャー的な映画力を存分に楽しめる快作ムービーです。
ソン・ガンホの人情派演技が良いのはもはや当然としても、もう一方の主役であるカン・ドンウォンの、抑えつつも沸々と熱いスパイ役が実に良い。韓国イケメンさんを毛嫌いする人以外には、安心してオススメできる万人向けの良さがあります。
地域によってはまだ上映中ですので、よろしかったら劇場へ。