2012-11-28 第1回アイドル楽曲大賞2012

_ 楽曲部門。

前年までのハロプロ楽曲大賞のおまけ部門から独立した、アイドル楽曲大賞。今年も投票してみたいと思います。

_ 5位 [Negicco] Party On the PLANET

9年のロングキャリアを経て、ついにオールタイム・ベストアルバムを発売するに至ったNegicco。2003年前後の曲はさすがに時代感を感じるものの、そのキャリアを俯瞰させるアルバムの発売は、古くからNegiccoを知る人にとっては感涙モノの出来事でした。

そのアルバム『Negicco2003~2012-BEST-』にボーナス的に新曲として収録されたのが、この曲「Party On the PLANET」。どん底からの成り上がりの先輩としてNegiccoと比較されることもあるPerfumeのベストアルバム『Perfume~Complete Best~』に収録された新曲「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」と同様、アルバム曲だけどライブの定番として盛り上がれるイイ曲です。

作詞作曲はもちろん、いまのNegiccoのサウンドを一手に手がけるconnie氏。Perfumeにおける中田ヤスタカ氏のごとく、マンネリズムを超えたイイ曲をドンドン排出していただきたいものです。Stop, Negi time!

_ 4位 [BABYMETAL] いいね!

アイドルブームで新規グループが乱立する中、パッケージとして飛び抜けて面白いのが、さくら学院重音部ことBABYMETALです。黒赤のゴス衣装に身を包んだ少女たちが、モテないけど熱狂的なファンが多いヘビーメタルを歌うというそのギャップは、そもそも非差別的な自意識を持つアイドルヲタのハートにジャストミート。色物だけど替えの効かない存在として、今年アタマから尻上がりに知名度を上げています。

メンバー3人の構成もキモで、センターに抑揚の少ない唱法で丹念に歌うボーカリストSU-METALを据え、両サイドに低身長のYUI-METALとMOA-METALを従えるその構成は、まるで往年の魔女っ子アニメで妖精キャラと一緒に行動する主人公のようでもあります。

楽曲的にはNARASAKI氏がプロデュースした「ヘドバンギャー!!」のほうが正しくメタル的なのですが、個人的には「メタルっぽいもの」や「ヒップホップっぽいもの」をごった煮した「いいね!」のほうが面白くて好みです。

ていうか去年、ファースト曲の「ド・キ・ド・キ☆モーニング」に投票し忘れたのが心残りでした。

_ 3位 [9nine] 少女トラベラー

今年もいろいろとアイドルイベントを観に行ったわけですが、その中でも印象的だったもののひとつが「タマフル&申し訳・サマーフェス2012」。そのパフォーマンスの中でもひときわ輝いていたのが、早朝枠として登場した9nineでした。あれは徹夜アタマだからという以上の何かがあったと思います。

agehaspringsがプロデュースしている9nineの楽曲は、何が良いかと言われると困るのですが、正しく四つ打ちでダンサブル、かつ正しくエレクトロニカなサウンドの上にガーリーなユニゾンのボーカルが乗るという、言ってみれば正調なダンスアイドルサウンドの良さがあるのではないかと思います。そんなのいくらでもあると思うかもしれませんが、意外とないんですよねこれが。なおかつ自分のツボに来る曲というと、さらに限られてくるところで。

そんな9nineの曲の中でも印象的だったのが「少女トラベラー」。今年2月あたりに渋谷の街中で流れていたのも記憶に深く残っています。シングルとして9nineのキャリアハイを更新したのもうなずける、魅力的なダンスポップスです。

_ 2位 [hy4_4yh] MUSIC MASTER

個人的に今年いちばん回数行った現場は、hy4_4yhのライブでした。いままでも何度も見ていたんですけど、なんか急にハイパーさんの“巧さ”がストンと来たんですよね。それに伴って彼女らのキャラクターも愛せるようになって、気がつけば何度も足を運んでいました。

そんなハイパーさんの楽曲の中でも、個人的にガツンと来たのがこの「MUSIC MASTER」。隠れた名曲ライターである江崎マサル氏の数々の楽曲の中でも、相当に高いレベルにある名曲中の名曲だと思います。江崎さん、実はドンドン良くなってると思うんですよね。

ハイパーさんについては、未見のかたはぜひライブで一度見ていただきたいんですよ。何しろアイドルとしては飛び抜けて歌唱のレベルが高いのが特徴で、ライブはすべて生歌、それもCD音源に勝るとも劣らない完成度で聞かせてくれるんだから凄い。いろいろなアイドルが集まるイベントでは勢いのある曲でガンガン押すので、この「MUSIC MASTER」は単独ライブ以外ではあまり聞けないのが玉に瑕です。みんなライブに行こう!

あとこの曲、サンプル的に聞けるものがネット上にないんですよ。これは非常にもったいないなーと思います。誰かっていうか関係者のかた、ライブ映像をアップロードしてください!

代わりにハイパーさんの「TamaFree」を貼っときます。曲調ぜんぜん違うけど。

_ 1位 [Tomato n' Pine] ワナダンス!

師走も近づこうかという11月、突然飛び込んできたのが、Tomato n' Pineの散開宣言と、それに伴うWADAさんの活動休止の一報でした。ジェーン・スーさんとagehaspringsによるトマパイの数々の楽曲は、アイドルブームの中でもその黒さと質の高さにおいて一目置かれるべきものであり、それが失われることは間違いなく大きな損失で……。本当に残念というほかありません。

ただ、そんな報せがあろうとなかろうと、この曲「ワナダンス!」は楽曲大賞のトップ投票を競う、歴史的な一曲だと断言してしまいたいと思います。発売は2011年の12月なので感覚的には去年の曲なんですけど、この曲に投票できるのならしないワケにいきません。

今更言うことでもないでしょうが、この曲はMcfadden and Whiteheadのオールド・スクールな名曲「Ain't no Stopping us Now」を下敷きにし、ブレイク部分にはCheryl Lynnの有名曲「Got To Be Real」のイントロを引用するなど、洋楽の、それもブラックミュージックのエッセンスをふんだんに取り入れた実験性を持った曲でもあります。

この辺についてはTBSラジオ「高橋芳朗HAPPY SAD」にゲスト出演したタワーレコード嶺脇育夫社長の分析が完璧ですので、それを紹介したブログを以下に紹介したいと思います。

アイドルソングと洋楽の深イイ関係 - くらやみのスキャナー

トマパイの名曲はこの「ワナダンス!」だけでなく、同曲収録CDのリード曲「ジングルガール上位時代」や、アルバム『PS4U』収録の「そして寝る間もなくソリチュード(SNS)」などもイイ曲です。

そして本当に残念なのが、トマパイのラストライブのチケットが取れなかったことです。うわーん。

_ アルバム部門。

アルバム部門も投票しておきます。

_ 3位 [9nine] 『9nine』

正調ダンスポップス。いまのアイドルサウンドらしさとJ-POPらしさの両方を兼ね備えたイイ盤です。

_ 2位 [hy4_4yh] 『ハイパーヨー盤4』

江崎マサル氏の幅広い楽曲と、ハイパーさんの歌唱の巧さが堪能できる名盤。これで2000円は安すぎる!

_ 1位 [Tomato n' Pine] 『PS4U』

楽曲1位投票の「ワナダンス!」を含め、アイドル史に名を残すであろう名盤。アイドルサウンドに黒さを持ち込んだクリエイティブさは高く評価されるべきではないかと思います。


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